2013-02-12 SCOT「シンデレラからサド侯爵夫人へ」は・・・ SCOTの「シンデレラからサド侯爵夫人へ」の公演を吉祥寺シアターで観てから、耳の奧でサド侯爵夫人の台詞が鳴っていた。シンデレラからサド侯爵夫人。どんなサド侯爵夫人になるのか興味津々で客席にいたのだが、その集中力は台詞にどんどんぶちのめされて行く。長台詞であればあるほど、ボディーブロウの様に僕の頭の中はドロドロになって行くのが解る。終演後ズタズタになりながら挨拶もそこそこに吉祥寺の街に逃げ出すように這い出た。しかし、耳鳴りのように耳の奧で台詞が鳴っている。身体を動かさずに台詞だけを発する役者の声が耳の奧にある。中央線の電車の中でも音楽のように台詞が鳴っている。あの体験から抜け出るのに少なくとも1週間は必要だった。Bachのマタイを聞いていても、あの台詞が音楽のように現れた。演出家の思いをこのブログで読んだとき、その呪縛から逃れられた。僕たちが役者の台詞を音楽のように聞けない理由は、日常の中に答えがあった。演出家は、MozartやBeethovenのように僕を日常から引き離していった。恐るべしこの「動物的エネルギー」耳鳴りのようなサド侯爵夫人の台詞が消えた頃、利賀は雪が深くなり、音がその中に吸い込まれている。これも非日常なのか http://bit.ly/YThJHz